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特定技能と技能実習の採用状況とは?2021年以降の外国人採用を予想

特定技能と技能実習の採用状況とは?2021年以降の外国人採用を予想

特定技能と技能実習の採用状況とは?2021年以降の外国人採用を予想

2021.02.20

「特定技能制度と技能実習制度、コロナの影響はどれくらい受けている?」

「特定技能と技能実習の採用状況をさっと確認したい」

このようなことに対する記事です。

新型コロナウイルスの影響で、特定技能制度と技能実習制度の利用状況が変わっているのか、採用動向が気になっている企業は多いのではないでしょうか。そこで今回は、特定技能・技能実習の採用状況を紹介していきます。国籍や業種ごとの採用状況についても解説しています。また、2021年以降の外国人採用を予想しているので、採用を検討している方は必見です。

 

■特定技能ビザ制度はどのくらい採用に使われているか

  特定技能ビザ制度はどのくらい採用に使われているか

特定技能ビザ制度の利用状況

 

出入国在留管理庁が公表している特定技能1号在留外国人数は、2020年12月末時点で総数15,663人となっています。

2019年12月末時点での特定技能1号在留外国人数は1,621人でした。1年間で14,000人以上も利用者が増えていることから、特定技能ビザ制度が普及しはじめていることがわかります。

 

国籍・地域別に見ると、特定技能1号在留外国人数はベトナムが9,421人と全体の6割を占め、次いで中国1,574人・インドネシア1,514人の順に多い結果となっています。

 

業種別に見る特定技能ビザ制度の利用実態

 

特定技能ビザ制度の利用者数は増加傾向にありますが、業種によって採用状況が異なります。

2020年12月に出入国在留管理庁が公表しているデータによると、特定技能1号在留外国人が最も多いのは飲食料品製造です。飲食料品製造は5,764人となっており、全体の3割以上を占めています。次いで、農業2,387人・産業機械製造業1,248人となっています。

 

反対に、特定技能1号在留外国人が少ない業種下位3位は、航空13人・宿泊67人・自動車整備151人です。特定技能ビザ制度の利用者数は、すべての業界で増えてはいるものの、コロナ禍ということもあり伸び悩んでいる業種が多く見られます。

 

コロナ禍で想定していた外国人採用数には及ばず

 

新型コロナウイルスにより、各業界で外国人採用数を絞る動きが見られています。

特に、GoToトラベルの運用が一時停止になった影響で、ホテルや観光関連の企業の多くは採用を見合わせる状態が続いています。

 

そもそも政府は当初、特定技能ビザ制度の利用者数が2019年度は47,000人、開始から5年間で最大345,150人になると見込んでいました。ところが蓋を開けてみると初年度が1,621人、次年度が15,663人と、想定した利用者数には到底及んでいません。

初年度は制度が開始されたばかりで積極的に採用する企業が多くありませんでしたが、利用者数が増えると期待された次年度もコロナ禍で歯止めがかかっています。

 

■技能実習ビザ制度はどのくらい取得者がいるのか

■技能実習ビザ制度はどのくらい取得者がいるのか

技能実習生の推移と傾向

 

法務省の公表によると、技能実習生の在留数は、2020年6月時点で約40万2000人でした。

技能実習生の在留数は、2017年度は27万4,233人、2018年度は32万8,360人、2019年度は41万971人と、2019年までは毎年増加傾向にありました。

しかし、2020年は5~7月に行った新型コロナウイルスによる入国者規制により、技能実習1号の入国が制限され、2019年より在留数が少ない結果となっています。

 

2019年度の技能実習生の出身国で最も多いのはベトナムで、在留数21万8727人と全体の5割以上を占めています。次いで、中国8万2370人、フィリピン3万5874人の順に技能実習生の在留数が多いです。

 

技能実習生は、特定技能よりも受け入れ条件が緩和されていて、企業が採用しやすいという背景があります。それに比べて、特定技能は業種が極端に限られていたり、テストや実績が必要だったりと、さまざまな条件で採用のハードルが高くなっています。

 

業種別に見る技能実習ビザ制度の利用実態

 

外国人技能実習機構によると、2018年度における技能実習1~3号で認定件数が一番多い業種は、機械・金属で8万5774人です。次いで線維・衣服の7万2673人、建設の7万1299人の順に多く採用されています。上記業種はいずれも人手不足が嘆かれており、技能実習生の受け入れが業界全体の課題解決につながっているといえるでしょう。

 

コロナ禍で技能実習3号への切り替えも困難な時代に

 

新型コロナウイルスの影響で、特定技能ビザ制度に切り替えずに技能実習3号に切り替える在留者が増えています。

本来、技能実習生は技能実習1号だと在留期間が1年間ですが、在留期間を超えるタイミングで技能実習2号に切り替えると、在留期間を2年間延長できます。さらに、技能実習2号を終えるときに技能実習3号に切り替えると、在留期間を2年間再延長できるため、1~3号を合わせると最長5年間の在留が認められます。

また、技能実習ビザ制度の利用者は、業種にもよりますが途中で特定技能ビザに切り替えることができます。

しかし、コロナの影響により、人員の拡大に消極的な企業も少なくなく、在留期間の延長や特定技能への切り替えはそう簡単ではありません。

 

2020年8月から入国規制が緩和されたことにより、2021年1月までに約4万人の技能実習生が新たに入国しています。ですが、コロナ禍で減った技能実習生が再び増えている一方で、職を失う技能実習生が出てきました。

2020年11月末には約3,000人もの失業者が発生しており、新たな職に就けていない技能実習生は2021年1月末時点で約100人にも上るのです。基本的に技能実習生は転職ができないものの、コロナ禍の影響を背景に2020年4月からは異業種への転換が特例として認められています。

 

■2021年以降の外国人採用を予想

■2021年以降の外国人採用を予想

新型コロナウイルスの影響で2021年は、多くの企業が外国人採用に消極的になるという予想が強いです。

日本国内ではコロナ関連で経営破綻に追い込まれる企業が増えていて、2021年2月2日時点で経営破綻件数は1,000件を超えます。コロナ関連の解雇・雇い止め人数は実に8万4883人にも上っており、外国人に限らず日本全体の雇用数が激減しているため、外国人採用市場も、そこまで明るい1年とは言えないかもしれません。

 

一部の専門家からは、リーマンショック後、日本の景気回復まで4年近くの歳月を要したことから、景気回復は2024年以降になるのではないかとの声も上がっています。そのため、2022年以降も外国人採用が増えるとは一概には言いにくい状況が続いているのです。

特に、特定技能ビザを持つ外国人の採用については、業種によって明暗を大きく分けることになるでしょう。コロナ禍の影響により、ホテル・観光・飲食業については、特定技能の求人が取り下げられ需要が少ない状態になっています。

 

しかし、消費が増えている食品製造・農業、人手が足りない介護の業界は特定技能の求人は増加していて、2021年以降も一定数の採用が見込めるという見方もあります。

 

コロナの影響で、普段は就職先が既に決まっているような外国人材も、まだ就職先を探しています。技能実習生や特定技能ビザの取得者、即戦力になる人材がたくさん残っている可能性が高いと考えられるため、外国人材採用を検討している企業にとっては、優秀な人材を獲得できる機会と捉えても良いのかもしれません。