特定技能人材の採用を検討しているけれど、手続きが難しそうだと感じている方もいますよね。特定技能人材を比較的スムーズに採用しやすい国としてネパールが知られています。今回は、ネパールの概要をはじめ、ネパールの特定技能人材の在留状況や雇用の流れ、注意点などを解説していきます。
特定技能対象国のネパールとは?
ネパールから特定技能人材を受け入れるのであれば、外国人とうまく関わっていけるようにネパールに関する知識を学んでおくことが重要です。まずはネパールの概要から解説していきます。
地理
ネパールは中国とインドにはさまれた亜熱帯地域にある山岳国です。国土にはエベレストも含まれています。山が多くて起伏に富んだ地形であり、朝夕の気温差が激しいのが特徴です。
言語
公用語はネパール語です。多民族国家なので、各民族の言語も用いられています。民族によっては、学校や職場で英語を用いている場合もあることから、ネパール人は日本人よりも英語力が高い可能性があるといわれています。
宗教
国民の約8割がヒンドゥー教徒です。仏教徒やイスラム教徒の方も生活しています。ヒンドゥー教徒が多いですが、ヒンドゥー教は国教ではありません。
文化
ネパールは男性優位社会です。男性が外で働き、女性が主婦として家を守るという伝統があります。従来の日本と似たような文化だといえるかもしれません。
ネパール籍の特定技能人材在留状況(令和4年最新)
令和4年におけるネパール籍の特定技能人材の総数は855人です。
分野別にみると、介護分野(518人)、外食業分野(120人)、農業分野(61人)の順に多くなっています。
参考:特定技能1号在留外国人数 令和4年3月末現在(出入国在留管理庁)
特定技能人材の在留状況については下記の記事でも詳細を解説していますので、あわせて確認してみてください。
参考:2022特定技能最新状況!一番多く国は?どの分野の特定技能人材が一番多いか?解説します!!
ネパール籍の特定技能人材を採用するのがおすすめの理由
ネパール籍の特定技能外国人を採用するのがおすすめの理由を解説していきます。
送出機関を通さずに直接採用できる
国によっては特定技能人材を雇用するときに、政府が認めている送出機関を通さなければならないケースがあります。
その点、ネパールでは海外労働許可証さえ取得すれば直接雇用することが可能です。採用手続きの負担が少ないので、スムーズに採用を進められます。
言語習得能力に優れている
ネパール人は言語習得能力が高いといわれています。中には四字熟語を自由に使いこなせるネパール人も見受けられます。
ネパール人によると、ネパール語は母音の数が多くて発音が複雑であるのに対して、日本語は母音が少なくて話しやすいとのことです。
日本語能力を重視するのであれば、ネパール人の採用を検討してみるとよいでしょう。
勤労意欲が高い
ネパール人の平均月収は日本円で20,000円ほどであり、世界の中では最貧国の1つとして知られています。
そのため、日本で働いて家族に仕送りをしたいと考えている人や、日本の仕事を学んで自分の国で役立てたいと考えている人が多い傾向です。
勤労意欲の高い人材を採用したいときにも、ネパール人を検討してみるとよいかもしれません。
ネパール籍の特定技能人材を採用する流れ
ネパール籍の特定技能人材を採用するときの流れについて、ネパールから新たに受け入れる場合と、日本に在留するネパール人の方を受け入れる場合に分けてまとめていきます。
ネパールから新たに受け入れる場合
ネパールから特定技能人材を新たに受け入れる場合の流れは下記の通りです。
ステップ1:受入機関とネパール人との間で雇用契約を締結する ⇩ ステップ2:受入機関が地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請する ⇩ ステップ3:受入機関が地方出入国在留管理局から在留資格認定証明書の交付を受ける ⇩ ステップ4:受入機関がネパール人に在留資格認定証明書を送付する ⇩ ステップ5:ネパール人が在ネパール日本国大使館に査証を申請する ⇩ ステップ6:ネパール人が在ネパール日本国大使館から査証を発給してもらう ⇩ ステップ7:ネパール人がネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門に海外労働許可証を申請する ⇩ ステップ8:ネパール人がネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門から海外労働許可証の発行を受ける ⇩ ステップ9:ネパール人が海外労働許可証を提示して出国する |
日本に在留するネパール人の方を受け入れる場合
日本に在留するネパール人の方を受け入れる場合の流れは下記の通りです。
ステップ1:受入機関とネパール人との間で雇用契約を締結する ⇩ ステップ2:ネパール人が地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請をする ⇩ ステップ3:ネパール人が地方出入国在留管理局から在留資格変更許可を受ける ⇩ ステップ4:ネパール人がネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門に一時帰国の際の海外労働許可証を申請する ⇩ ステップ5:ネパール人がネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門から海外労働許可証の発行を受ける
ステップ6:ネパール人が海外労働許可証を提示して出国する |
特定技能でネパール籍の方を採用する際に注意すべきポイント
特定技能でネパール籍の方を採用する際の注意点を解説していきます。
宗教や文化に関するマナー
ネパールにはヒンドゥー教を信仰している方が多く、ネパールの特定技能人材と良好な関係を築いていくには、宗教に関するマナーを知っておく必要があります。たとえば、ヒンドゥー教では牛が神様の化身とされているので、牛肉を使った料理は提供できません。
また、ネパールでは昼食を食べる文化がありません。そのため、ランチミーティングに誘うと負担をかけてしまうので注意してください。
在留期間やアルバイトの勤務時間(国内受入の場合)
特定技能1号には在留期間の上限が設定されています。具体的には、1年、6か月、4か月ごとに更新が必要であり、通算の上限は5年です。
残りの在留期間が少ないネパール人を雇用すると、短期間で帰国されてしまいかねません。
国内ですでに特定技能1号の在留資格を取得しているネパール人を採用する際には、在留期間の更新状況を見落とさずに確認する必要があります。
また、留学生が「資格外活動許可」の制限である28時間を超えるアルバイトをしてしまうと、在留資格の審査で素行不良として扱われ、特定技能の変更が行えないケースも少なくありません。
留学生を特定技能人材として採用する場合は、アルバイトの勤務時間もよく確認しておきましょう。
素性や求人、手続きの期間(海外受入の場合)
ネパール人は、政府が認めている送出機関を通さずに直接採用できるので、採用後にトラブルにならないよう、素性や日本での勤労意欲などを確実に確認する必要があります。
また、駐日ネパール大使館を通して求人を出す場合は有料なので注意してください。
そのほか、ネパール側の手続きとして、特定技能人材として来日するネパール人は、健康診断の受診や出国前オリエンテーションの受講、海外労働許可証の取得などが発生します。これらの手続きだけでも10日程度かかる点は把握しておきましょう。