平成30年(2018年)12月、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部が改正された際に、中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、また、技能実習生の待遇改善を図るため、特定技能の在留資格制度が創設されました。
その後、コロナ禍を経て、令和4年(2022年)8月の閣議決定により、その制度運用が変更されました。とかく面倒で分かりにくい入国手続を簡単に解説し、特定技能1号での外国人受入れを最短ルートで可能とするヒントをお届けします。
特定技能の在留資格に係る制度とは ?
特定技能の種類
特定技能には、2種類(1号・2号)の在留資格があります。
1)特定技能1号
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
最新の特定産業分野は12分野あり、ポイントは次の通りです。
ア)在留期間:1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
イ)技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
ウ)日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
エ)家族の帯同:基本的に認めない
オ)受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象
2)特定技能2号
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
最新の特定産業分野は2分野あり、ポイントは次の通りです。
ア)在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
イ)技能水準:試験等で確認
ウ)日本語能力水準: 試験等での確認は不要
エ)家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子)
オ)受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外
▶▶特定技能制度に関する詳細については、こちらの記事をご覧下さい。
https://tokuteiginou-hikaku.com/useful/program_description/
令和4年の主な変更点
➀製造3分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)が別々に区分されていたものが1つに統合されたことにより、従来の14分野から12分野となりました。
これは、1つの事業所から見ると、製造3分野のうち複数の受入れを行う場合が多く手続きが煩雑となっていたため、簡素化を求める声がありました。この声に応じ分野を統一することにより簡素化が図られたことになります。
➁コロナ禍の影響を考慮し、特定技能外国人の受入れ見込数の見直しが行われ、製造、飲食料品製造の見込数が増え、農業を除くその他すべての分野が減り、総数が変わらない範囲でバランスが図られました。
見直しのきっかけとなったのは、2022年2月時点で製造3分野となる前の産業機械において、受入数が5,400人となり、受入れ見込数5,250人を超えたことにより、在留資格認定証明書の交付が一時停止されたことでした。コロナ禍で人々の生活が大きく変化したことから、半導体製造装置、及び産業用ロボットの需要が高まったことが原因として挙げられます。
農業だけは増減なく、据え置かれましたが、これは一定の需要を考慮したものになります。
今後は、状況に応じ受入れ見込数の見直しが検討されていくものと予想されます。
➂その他、特定分野ごとに改善された点については、こちらをご確認下さい。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/03_00027.html
最新!令和4年12月末時点の特定技能在留状況
主な国籍・地域別ベスト5〜ベトナム籍が圧倒的に多く全体の58.9%を占める
ベトナムに次ぎ、インドネシア12.5%、フィリピン10.1%と続き、その他ベスト5に入る中国、ミャンマーを合わせると、ベスト5合計で92.8%を占めています。
ベトナム、インドネシア、フィリピンの上位3国籍は、技能実習でも受入数が多く、同じような傾向を示しています。気遣いやきめ細かさという点から日本人の特性に近く比較的相性が良い面も寄与しているかも知れません。
2.2.特定産業分野別〜受入枠を見直し、製造、飲食料品製造枠を増やし強化!
今後も高い需要が見込まれる製造の受入れ見込数が約1.5倍(31,450 人→49,750 人へ)、飲食料品製造の受入れ見込数が約2.5倍(34,000人→87,200人)増えたのに対して、農業を除く残りの全ての分野が平均して2割強ほど減りました。最も減ったのが外食業(53,000人→30,500人)、ビルクリーニング(37,000人→20,000人)で約6割弱ずつ減り、バランスが図られました。
農業だけは増減なく、一定の需要が考慮され据え置かれました。
特定産業分野を国籍・地域別に見ると、いずれの分野でもベトナム籍が多いですが、自動車整備ではフィリピン籍が、製造3分野、飲食料品製造および農業では、中国が比較的多くなっています。
2.3.都道府県別で見ると、愛知県がトップ
2.3.1.愛知県に次いで、大阪府、茨城県と続く。上位ベスト10は次の通り。
特定分野ごとに都道府県別の受入数を見てみると、重点2分野のうちの1つの飲食料品製造では、埼玉、千葉、愛知のトップ3がほぼ差なく3,000人台前半、もう1つの製造3分野では、トヨタグループの拠点である愛知がダントツで4,000人台前半、2位の大阪府が愛知の約半分の2,000人台前半で続きます。
介護では、トップが大阪で1,000人台後半、神奈川、東京、愛知が1,000人台前半で続きます。
外食業では、店舗数の多い東京がトップで1,000人台後半、愛知、大阪が500人台で続きます。
建設では、埼玉がトップで、トップ4までが拮抗し埼玉、神奈川、東京、愛知が1,000人台前半となっています。
令和4年と令和3年の比較
特定分野別在留人数
各分野とも増加し、全分野平均で約2.7倍となりました。少ない製造、宿泊でも約1.7倍、最も多い航空で約4.6倍、続いて介護、造船・舶用工業で約3.1倍増えています。
令和4年12月末時点での在留総数トップ2は、重点2分野の飲食料品製造、および製造3分野であり、続いて介護、農業がほぼ同数で並び、介護、農業より若干少ない建設が続きます。
都道府県別在留人数ベスト10
各都道府県とも増加し、在留総数ベスト10の平均での伸びは約2.6倍となりました。最も増えたのが在留総数第2位の大阪で約3倍、続いて同第3位の茨城で約2.7倍となっています。
合わせて分野も見ると、第1位が製造でトップの愛知、第2位から5位はほぼ差なく続き、第2位は介護でトップの大阪、第3位は農業でトップの茨城、第4位は建設でトップの埼玉となっています。
まとめ
特定分野別で見ても、各都道府県別で見ても、同様の増加率を示している一方、特定分野別で見ると、平均を下回る分野が見られます。それぞれの分野が抱える課題が内在しているかも知れませんが、ここでは全分野に共通しそうな2点について触れてみます。
まず、全分野に共通するのは、言葉の壁ではないでしょうか。いかに日本語を学んでもらい、その修得度合を測るか?それが受入れ側の課題の1つであると思われます。受入れ側が相手の言語を習得できればこの課題はクリアできますが、ハードルは高いと言えます。ならば多言語に対応できるAIを導入してしまった方が早いかも知れません。
もう1つは、労働条件ではないでしょうか。在留資格には期間の定めがあるため、正規雇用とするには難しい面があります。また、労働時間や給与水準の課題については、問題視されるケースが多いため整備が必要です。
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いかがでしたでしょうか?
今後の指針とするための事前情報として、特定技能の在留資格に係る制度の要点、外国人受入れ上の注意点、令和4年の変更点および現状を踏まえ、おすすめの人材紹介会社までをお届けしました。
おそらく、これで特定技能の在留資格取得へ向け万全の準備が整うものと思います。
最後に、あまり在留資格取得のご経験がない方に向け、2つほど豆知識をお知らせします。ご参考になりましたら幸いです。
1)査証(ビザ)と「在留資格」の違い
「在留資格」が誤って「査証」(ビザ)と呼ばれることがあります。
「査証」(ビザ)とは、日本に入国しようとする外国人が所持する旅券(パスポート)が 本物であり、かつ、日本への入国に有効であることを外務省・在外公館が確認するためのもので、それぞれ定められた条件下で、当該外国人の本邦への入国(滞在)が適当であることについての「推薦」という性質を持ちます。したがって、「査証」は、港湾での上陸審査を通過すると、その役割を終えます。
これに対して、「在留資格」は、外国人が日本で行うことができる活動等を類型化したもので、法務省(出入国在留管理庁)が外国人に対する上陸審査・許可の前提とする資格であり、在留期間中有効なものです。上記でご紹介した「特定技能」は、「在留資格」の一種です。
なお、「特定技能」以外にも日本国内で就労が可能な在留資格は複数あります。
2)「技能実習」と「特定技能」の違い
「特定技能」と混同されることがある「技能実習」は、現場での実習を通じて日本の様々な技術を習得した後で帰国し、その技術を母国に広めるという国際貢献を目的とするのに対し、「特定技能」は、人材の確保が困難な一部の産業分野等における人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を即戦力である労働者として日本で受け入れることを目的としています。
なお、「技能実習」(2号)を良好に修了した方が「特定技能」に在留資格を変更することが可能です。