特定技能とは?
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野において外国人の受け入れを認める在留資格です。2019年4月から法律により特定技能制度が開始されました。
日本に在留している特定技能人材を採用するときの流れは下記の通りです。
ステップ1:外国人が試験に合格あるいは技能実習2号を修了
ステップ2:特定技能外国人と雇用契約を締結
ステップ3:特定技能外国人の支援計画を策定
ステップ4:在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局に行う
ステップ5:特定技能1号に在留資格を変更
ステップ6:就労開始
なお、特定技能外国人を雇用するときは、支援計画の実施を人材紹介会社に委託することも可能です。ただ、登録支援機関の申請を行って認可されている人材紹介会社に限ります。
特定技能人材の採用パターン
特定技能人材の採用パターンは、自社採用の方法と人材紹介会社に委託する方法に分かれます。それぞれの方法について詳細を解説していきます。
■パターン1.自社で採用を内製化する
特定技能人材を自社採用する方法としてSNSの活用が挙げられます。たとえば、Facebookのグループ内で自社の求人を投稿するのがよい例でしょう。
自社で採用専用サイトを立ち上げる方法も検討できます。企業のサイトとは別に特定技能人材向けの採用専用サイトを開設し、求職者に応募してもらう方法です。
そのほか、求人サイトに特定技能人材の求人を掲載してもらう方法もあります。最近では、特定技能を対象とする求人検索に対応した求人サイトも登場しています。
■パターン2.人材紹介会社を利用する
特定技能人材を人材紹介会社に紹介してもらう方法です。具体的には人材紹介会社に採用したい人材の条件を伝えて、条件に合致した外国人を探してもらいます。
海外のトレーニングセンターと提携することで、あらかじめ教育された人材を確保している人材紹介会社もあり、即戦力の外国人を紹介してもらうことも可能です。
費用に関しては、紹介してもらった人材の内定が決まったタイミングで、成功報酬が支払われる場合が多いです。
特定技能人材の採用を自社で内製化するメリット・デメリット
特定技能人材の採用を自社で内製化するメリット・デメリットを解説していきます。
■メリット
まずはメリットから確認してみましょう。
<メリット1.コストを抑えられる>
一般社団法人全国人材支援連合会は2021年7月に、外国人雇用を経験した企業経営者を対象に、外国人雇用に関する実態調査を行いました。
「外国人労働者の雇用を”自社内製化”することで期待できることは何だと思いますか?」という質問に対して「雇用にかかる月額コストと全体の採用コストを抑制できる」と回答した方の割合が約3割に達しました。
自社採用サイトを利用すれば、求人広告を出さずに人材を確保できるので、広告費を削減できます。採用の内製化において、コストの軽減が最も期待されているメリットだとわかります。
参考:【これからの外国人雇用は”自社内製化”】特定技能14業種の経営者に調査!そこから見えた実態と課題とは(PR TIMES)
<メリット2.会社にマッチした人材が集まりやすくなる>
求人サイトに求人を掲載する場合は、求人サイトの決まったデザインのページで情報が公開されます。
その点、自社で採用する場合は、社風や獲得したい人材に応じて採用サイトを構成できます。
自社の理念やブランドイメージに共感してくれる外国人が集まりやすくなるので、会社にマッチした人材を見つけやすくなります。
■デメリット
次にデメリットを確認してみましょう。
<デメリット1.サイトの作成に時間・工数・費用が発生>
採用を内製化する場合は、サイトを作るためにデザインや文章を考えなければならず、時間と工数がかかります。
自社にITに詳しい社員がいなければ、最終的にホームページの作成を外注することになり、費用も発生してしまいます。
<デメリット2.採用後のリスクは自己責任>
受入機関は、特定技能外国人の受け入れにあたって、出入国在留管理庁長官に外国人の受入状況や活動状況、支援計画の実施状況などを届出しなければなりません。
届出の不履行や虚偽の届出による違反が認められると、最悪のケースでは罰則を科されます。
<デメリット3.言語や文化の壁がある>
特定技能人材は世界各国からやってくるので、話す言語もさまざまです。
自社に外国人の言語や文化を理解できる社員がいないと、正確に意思疎通が行えない可能性があります。相互理解に失敗すれば、雇用後の業務でトラブルが発生しやすくなるでしょう。
外国語を翻訳できる人材や過去に外国に住んでいた人材を雇用する方法も検討できますが、コストは増えてしまいます。
特定技能人材の採用を人材紹介会社に委託するメリット・デメリット
■メリット
まずはメリットから確認してみましょう。
<メリット1.採用リスクを避けられる>
初期費用が発生しない人材紹介会社のサービスもあり、成果報酬型であれば採用が決定したときに紹介手数料を支払います。
内定を辞退されたときに備えて、無料でもう一人の候補者を紹介してもらえるよう、条件を相談することも可能です。人材紹介会社を利用すれば、内定を辞退されたときの採用リスクを下げられます。
<メリット2.人材を効率的に紹介してもらえる>
自社採用の場合と違って、人材紹介会社は求職者を一定数確保しているため、条件にあう人材がいればスムーズに紹介してもらえます。
母国語による事前面談で人柄や性格を把握してから候補者を推薦してくれるサービスもあります。マッチングの精度まで高めてくれるので、内定の辞退も回避しやすいでしょう。
<メリット3.採用活動をスムーズに展開できる>
中国語やベトナム語、モンゴル語、ミャンマー語など、さまざまな言語に対応している人材紹介会社があります。
自社に母国語を話せる社員がいなくても、求職者の質問や懸念点などに対して代わりに回答してもらえます。企業と求職者を隔てる言語の課題をクリアできるので、採用活動をスムーズに展開できるでしょう。
■デメリット
次にデメリットを確認してみましょう。
<デメリット1.紹介料がかかるので給与を高めづらい>
人材紹介会社を通して特手技能人材を雇用する場合、紹介料が発生するので自社で採用するときよりもコストが高くなる可能性があります。
成功報酬型の紹介料は、採用者の年収の2割~3割ほどといわれています。手数料の割合が高いと、外国人の給料を高めるのも難しくなってしまうでしょう。
<デメリット2.採用のノウハウを構築しづらい>
採用業務を委託すると、採用のノウハウを構築しづらくなります。ノウハウを構築しておかないと、委託先のサービスが利用できなくなったとき、自社の採用活動が一時的に停滞してしまうリスクが高いです。
事業の安定性を重視するのであれば、採用を自社で内製化するほうが適しているでしょう。