特定技能外国人は、技能実習生とは違って転職することが認められています。
これは企業担当者からすれば、現在雇用している特定技能外国人が転職をしてしまうリスクがあるということになります。万が一、特定技能外国人から転職をしたいと申し出があった場合、どのように対応をすべきでしょうか。
この記事では、雇用している特定技能外国人が転職する際の手続きについて、簡単に触れています。
そこまで大変ではないですが、手続き漏れがあると罰せられることもあります。そうならないためにも、最低限のことだけは覚えておくことが大切です。
■【特定技能の転職】企業側の固有手続きは2つ/忘れると罰金も
特定技能の転職においては、下記2つの固有手続きがあります。
〇特定技能雇用契約に係る届出
〇受入れ困難に係る届出
届出漏れがあるとを出し忘れてしまった場合には、それぞれ下記の罰則に処される可能性があるので、ご注意ください。
〇特定技能雇用契約に係る届出:30万円以下の罰金
〇受入れ困難に係る届出:10万円以下の過料
(根拠規定:法第71条の4第1号、第77条の2)
①特定技能雇用契約に係る届出
特定技能雇用契約に係る届出とは、契約を締結したとき、契約を変更したとき、契約を終了したときに必要となる届出のことです。もし雇用中の特定技能外国人が転職するときには、該当書類書類に転職をする旨と、法務省令で定められる事項を書き込み、出入国在留管理局に提出する必要があります。
契約変更後14日以内に届出をする必要があり、名前や生年月日などの個人情報、変更の日時とその理由などを記載します。
そのほか契約終了の届出も必要です。
②受入れ困難に係る届出
受入れ困難に係る届出には、特定技能外国人の受け入れが困難になった理由や発生時期、原因などを記載します。また届け出後も、対象の特定技能外国人に関する調査や、勤務時の状況についてヒアリングなどが行われる可能性もあるので、対象の特定技能外国人に関する各種書類(出勤簿や給与明細など)はまとめて保管しておくことが肝要です。
①特定技能雇用契約に係る届け出と同じように、発生から14日以内に管轄の地方出入国在留管理局に届出をすることが義務付けられています。
その他の手続きは通常の転職と基本的に同じ
その他の手続きは、基本的には日本人が転職するときと同じです。
例をいくつか挙げると、下記のような事由の対応が必要です。
〇雇用保険被保険者資格喪失の届出
〇退職証明の発行
〇健康保険証の回収
〇社会保険の資格喪失処理の手続き
〇源泉徴収票の交付
〇雇用保険の離職票 などなど
どの手続きも、基本的には退職後14日以内に行います。
■特定技能人材には長く働いてもらおう
雇用している特定技能人材が、別の企業へ転職してしまう場合の手続きについて、簡単に説明しました。
手続き自体はそこまで難しくはないといえますが、企業として問題視しなければならないのは、特定技能外国人に転職をしたいと思わせてしまったこと、そのものです。
コストと時間をかけて採用した人材が会社を離れてしまうのは、企業にとって損失以外の何物でもありません。
〇文化や考え方の違いを知る
〇異文化理解に関する勉強会や講習会などに参加する
〇日本人と同様に評価する
などなど、やり方は企業によって千差万別だと思いますが、しっかりと特定技能外国人の方をケアして長く働いてもらうことが一番です。
日本人にとっても外国人にとっても、働きやすい環境を整えるよう努めていきたいですね。