特定技能ビザ 採用支援サービス徹底比較

特定技能ビザってなに?制度をわかりやすく説明

特定技能ビザってなに?制度をわかりやすく説明

2020.08.31

特定技能ビザってなに?

特定技能は2019年4月にできた、外国人が日本で働くための新しい在留資格です。特定技能が新しくできたことにより、これまで外国人の就労が認められていなかった業種、業務内容でも、外国人が働けるようになりました。
特定技能ビザとは一体どのような制度なのでしょうか。制度が新設された背景から制度の仕組みまでわかりやすく説明します。

特定技能はなぜできた?

日本では、少子高齢化社会を背景に人手不足が深刻化しています。
これまで日本では人手不足に対応するために、システム化やAI活用による生産性向上の取り組みや、国内人材の確保のための取組みが行われてきました。
しかし、上記のような取り組みを行ってもなお人材不足の状況が続き、存続が危ぶまれる産業分野や業種が存在します。
在留資格「特定技能」はそのような深刻化した日本の人手不足に対応するため、新設されました。在留資格「特定技能」の導入により、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みが構築されています。

受入れが可能な産業分野・業種

特定技能で外国人を受け入れることが可能な産業分野・業種は14あり「特定産業分野」と呼ばれます。どの産業分野・業種も人材不足が顕著であり、特定技能での外国人受け入れが必要となっております。
また、以下に該当しない企業での特定技能での外国人受入れは認められておりません。
今後は更に受入れが可能な分野が追加されていく見通しです。

■特定産業分野(14分野)
介護/ビルクリーニング/素形材産業/産業機械製造業/電気・電子情報関連産業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業

※特定技能2号は建設、造船・舶用工業の2分野のみ

何ができるようになった?これまでの外国人受入れ制度との違い

在留資格「特定技能」の導入により、何が新しくできるようになったのでしょうか。
端的に言えば、「これまで受入れができなかった産業分野や業種」で、外国人を「フルタイム正社員」としての雇用が認められたことが大きな違いとなります。

これまでの外国人を企業で受け入れる代表的な仕組みとしては、
● 技能実習制度を利用して受入れる
● 在留資格「技術・人文・国際業務」で雇用する
● 留学生をアルバイトとして雇用する
などの方法がありました。上記3つの仕組みと、「特定技能」の違いについて比較します。

  特定技能1号 技能実習 技術・人文・国際業務 アルバイト(留学)
滞在可能期間 最長5年 最長5年 制限なし 最長2年
労働時間 フルタイム フルタイム フルタイム 週28時間まで
技能試験 あり 無し 無し 無し
日本語レベル あり 無し 無し 無し
転職 可能 不可 可能 不可
学歴要件 無し 無し あり あり(留学先ごとに異なる)
家族帯同 不可(2号は可能) 不可 可能 不可

採用の流れ

①採用者を決定する
②雇用契約を締結する
③登録支援機関と提携する
④特定技能のビザ申請をする
⑤就労を開始する

①採用者を決定する
まず初めに採用する人を決定します。採用方法としては、自社で技能実習生やアルバイトとして現在雇用している外国籍の方を、正社員として雇用する方法の他、採用支援サービスを利用して求職者を募る方法などがあります。

②雇用契約を締結する
採用者が決定したら、雇用契約を締結します。特定技能ビザでの雇用契約は、「特定技能雇用契約」である必要があります。「特定技能雇用契約」では、採用者の報酬額が同じ業務を担当する日本人と同等額以上であることなどの確認等が含まれています。特定技能雇用契約書の具体的なフォーマットは、法務省ホームページで紹介されておりますのでご確認ください。

③登録支援機関と提携する
特定技能で外国人を雇用する場合、外国人が日本で安定的かつ円滑に就労活動や日常生活を行えるように、雇用企業が就労活動のみならず、日常生活に関する支援も実施します。雇用企業はこれらの支援活動を、専門機関である「登録支援機関」に委託することが可能です。
採用した外国人に対する支援業務は、住民登録や給与口座の開設から、国への報告業務まで、非常に膨大かつ多岐に渡ります。そのため、支援業務は雇用企業が自社で対応することも可能ですが、初めての特定技能ビザでの採用の場合、専門家である登録支援機関へ委託することを強くお勧めします。

④特定技能のビザ申請をする
ビザの申請方法は、大きく2種類あり、採用者が既に日本に在留している場合と海外に在留している場合で申請方法が異なります。
採用者が既に日本に在留している場合は、「在留資格変更許可申請」を実施します。在留資格変更許可がおりましたら就労を開始することができます。
採用者が海外におり、これから日本に入国する場合は、「在留資格認定証明書交付申請」を実施します。在留資格認定証明書交付がされましたら、航空券を購入し、日本に入国します。
ビザの申請業務については採用支援サービスや登録支援機関、もしくは提携されている行政書士などに相談することで円滑に進めることが可能です。

⑤就労を開始する
特定技能のビザ申請および、日本への入国が完了しましたら就労を開始することができます。
住民登録や給与口座の開設などについてもこのタイミングで実施します。登録支援機関と提携している場合は事前に実施日などの取り決めを行いましょう。

特定技能ビザでの受入れ要件

最後に、特定技能運用要領に基づき、特定技能で外国人を雇用する際、事前に確認する必要のある受入れ要件について紹介します。
企業が満たす必要のある基準

特定技能で外国人を雇用する際に、企業が満たす必要のある受け入れ要件は以下の通りです。

■受入れ機関自体が満たすべき基準(法第2条の5第3項 第4項、特定技能基準省令第2条第1項)
1. 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
2. 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
3. 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
4. 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
5. 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
6. 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
7. 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
8. 支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
9. 労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であるほか,派遣先が①~④の基準に適合すること
10. 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
11. 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
12. 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
13. 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

■特定技能雇用契約が満たすべき基準(法第2条の5第1項 第2項、特定技能基準省令第1条)
1. 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
2. 所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
3. 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
4. 外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,差別的な取扱いをしていないこと
5. 一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること
6. 労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること
7. 外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
8. 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
9. 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

■支援体制関係について受入れ機関自体が満たすべき基準(法第2条の5第3項、特定技能基準省令第2条第2項)
※ 登録支援機関に支援を全部委託する場合には満たすものとみなされます。
1. 以下のいずれかに該当すること
 a. 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり,かつ,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
 b. 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること
 c. ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること
2. 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
3. 支援状況に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
4. 支援責任者及び支援担当者が,支援計画の中立な実施を行うことができ,かつ,欠格事由に該当しないこと
5. 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
6. 支援責任者又は支援担当者が,外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
7. 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

外国人が満たす必要のある基準

特定技能で外国人が就労する際に、外国人本人が満たす必要のある受け入れ要件は以下の通りです。
■ 特定技能1号,特定技能2号に共通の基準(法第7条第1項第2号 上陸基準省令)
1. 18歳以上であること
2. 健康状態が良好であること
3. 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券(パスポート)を所持していること
4. 保証金の徴収等をされていないこと
5. 外国の機関に費用を支払っている場合は,額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
6. 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は,その手続を経ていること
7. 食費,居住費等外国人が定期に負担する費用について,その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており,かつ,その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり,明細書その他の書面が提示されること
8. 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

■ 特定技能1号のみの基準(法第7条第1項第2号 上陸基準省令)
1. 必要な技能及び日本語能力を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること(ただし,技能実習2号を良好に修了している者であり,かつ,技能実習において修得した技能が,従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は,これに該当する必要がない)
2. 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと

■ 特定技能2号のみの基準(法第7条第1項第2号 上陸基準省令)
1. 必要な技能を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること
2. 技能実習生の場合は,技能の本国への移転に努めるものと認められること

まとめ

特定技能の制度や受け入れの条件についてはご理解いただけましたか?特定技能の制度はとても複雑なため、少し難しく感じるかもしれませんが、採用支援サービスや登録支援機関などの専門サービスを利用することで受け入れ企業の負担を軽減することが可能です。 特定技能での採用を検討されている場合はぜひ一度、気になったサービスに相談してみましょう!