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技能測定試験合格者と技能実習2号修了者はどちらを採用するべきか?

技能測定試験合格者と技能実習2号修了者はどちらを採用するべきか?

2021.01.13

1. 前書き

皆さん、特定技能の取得パターンには2種類あることをご存じですか?

特定技能の対象業種になっている業種であればどんな特定技能人材でも採用できると思われがちですが、実はそうではありません。

業種ごとに採用できる特定技能人材、採用できない特定技能人材が決まっています。

今回はその業種ごとに異なる特定技能人材に関しご紹介していきますので是非、最後まで目を通してみてくださいね!

 

2. 特定技能の取得要件2パターンに関して

まずは、2種類の特定技能の取得パターン「技能測定試験」と「技能実習2号」についてご紹介します。

 

2-1 技能測定試験

まず、特定技能測定試験についてご説明します。

特定技能測定試験とは日本で就労を希望する国内外の外国人に対して国が求める基準をもとに作成した試験問題により「日本語能力」と「技能」を測定するための試験です。

「日本語能力」の水準は、独立行政法人国際交流基金が実施する「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または独立行政法人国際交流基金及び日本国際教育支援協会が実施する「日本語能力試験(JLPT)」において判定されます。

 

日本語能力試験に関しての詳しい情報は下記の公式リンクからご覧ください!

https://www.jpf.go.jp/jft-basic/ (国際交流基金日本語基礎テスト)

https://www.jlpt.jp/ (日本語能力試験)

 

「技能」の水準は、業種ごとの業界団体が実施する「技能測定試験」において判定されます。

令和2年の4月1日より受験資格が拡大し、これまでは「中長期在留者及び過去に中長期在留者として在留していた経験を有する方」に限られていたところが「在留資格を有する者」として在留資格をもって日本に在留する方については一律に受験を認められる運びになりました。

これにより,過去に中長期在留者として在留した経験がない方であっても受験を目的として「短期滞在」の在留資格により入国し,受験することが可能となりました。

 

令和2年4月1日以降の特定技能に係る試験に関する概要は以下のリンクをご覧ください。

http://www.moj.go.jp/content/001313269.pdf

 

また、業種ごとに定められた試験に関する概要は以下のリンクをご覧ください。

介護分野

ビルクリーニング分野

素形材産業分野

産業機械製造業分野

電気・電子情報関連産業分野

建設分野

造船・舶用工業分野

自動車整備分野

航空分野

宿泊分野

農業分野

漁業分野

飲食料品製造業分野

外食業分野

 

また、特定技能を取得するためには上記の「日本語能力試験」と「技能測定試験」の両方に合格する必要があります。

 

この他、特定技能を取得するためには以下の要件を満たす必要があります。

①18歳以上であること

②健康状態が良好であること

③通算在留期間に関するもの

(特定技能1号として在留している人は最長で5年間の在留期間が定められています。そのため特定技能1号の方が5年の期間を経た以降に特定技能1号を利用して在留することはできません。)

④保証金の徴収等をされていないこと

外国人またはその親族等が、保証金の徴収や、財産管理などの違約金契約を結ばされていない必要があります。)

必要な費用負担については、外国人本人が内容を十分に理解したうえで合意していること

(外国人が不当に高額な費用を払わされることを防ぐために事前の十分な理解合意が必要です。)

⑥外国人の送出し国で行うべき手続きが、正しく履行されていること

 

2-2 技能実習2号

次に、技能実習2号についてご紹介します。

技能実習2号とは外国人技能実習制度のうちの1資格です。技能実習1号で取得した技能等をさらに向上させるための活動と位置づけられています。

 

外国人技能実習生は特定技能人材と異なり、国際技能移転や国際協力を目的として日本に来日するため来日当初から日本語能力や技能が備わっているわけではありません。

しかし特定技能人材の日本語能力および技能レベルは技能実習2号修了者(技能検定3級+日本語N4レベル)と同等とされているため、外国人技能実習生の中でも技能実習2号を修了している外国人は特定技能人材と同等以上の能力をもつとみなすことが可能です。

 

さらに、技能実習2号を良好に修了した方(※)は本来特定技能の取得に必要とされる「日本語能力試験」と「技能測定試験」が免除されます。

技能実習2号から特定技能への移行の流れは以下の通りです。

 

<技能実習2号修了者が帰国せずに移行する場合>

通常の特定技能申請の手続きとさほど変わりはありませんが、 技能実習評価試験の合格証明書や評価調書が必要になります。

特定技能の受け入れには企業や申請外国人にもよりますが、通常1〜3ヶ月程度です。特定技能の申請は書類が多く複雑ですが、登録支援機関がサポートしてくれますので心配は不要です。

 

<技能実習2号修了者が一時帰国した後に移行する場合>

帰国した元技能実習生のビザを取得する場合は「在留資格変更許可申請」ではなく、「在留資格認定証明書交付申請」を申請することになります。

「良好に修了」とは、日本に1年10か月以上在留し、技能検定3級の実技試験に合格している事を指します。

 

3. それぞれのメリットとデメリット

次に、技能測定試験合格者を雇う場合と、技能実習2号修了者を雇う場合とを比較した際のメリットとデメリットについてご紹介します。

 

<メリット>

まずメリットからですが、技能測定試験合格者はそのまま特定技能人材に、また技能実習2号修了者も特定技能人材への移行が可能なためどちらも条件は同じです。そのためどちらかにメリットがあるというわけではありません。

どちらとも同じだけの能力を持っているため特定技能人材として採用する場合にはメリットに関して悩む必要は特にないでしょう。

 

<デメリット>

次にデメリットについてです。

こちらもメリットと同様に、技能実習2号修了者を特定技能人材に移行させたうえで採用する場合には、技能測定試験合格者と同様の条件となるためどちらかにデメリットがあるということにはなりません。

そのため、デメリットに関しても特定技能人材として採用する場合には特に考える必要はないでしょう。

 

しかし、技能実習2号修了者の方を資格の変更を行わずに採用する場合には以下のようなメリットやデメリットが生じると考えられます。

 

<メリット>

・技能実習2号の方が対応業種や職種が豊富である

(特定技能に移行する際の要注意ポイントです!後ほど詳しくご紹介します)

 

<デメリット>

・転職が不可である

(特定技能人材は、同業種内であれば転職が可能です)

・受入れの人数枠が定められている

(受入れ方法や常勤職員数に応じて異なる)

・就労前後に係わる人員の数が多い

技能実習の場合には「監理団体」「技能実習機構」「送り出し機関」など企業と実習生の間に入る当事者が多いです。しかし特定技能の場合には当事者が原則企業と候補者のみと非常に簡素です。)

 

上記を見ていただいてもお判りいただけるように、技能実習2号修了者と技能測定試験合格者は能力としては同等ですが、採用の方法によってはデメリットが多くなってしまいます。

特定技能人材として採用することでデメリットを少なくすることができ、企業にとってプラスなことが増えます。

さらに特定技能人材1号は特定技能2号(※)に移行することで永久に在留期間を更新することが可能になります。

技能実習2号修了者を採用する際にはぜひ、特定技能人材への移行を経て採用してくださいね!

 

※特定技能2号の対応業種は現在、建設業と造船・舶用工業のみです。

 

4. 業種による違い

次に、業種による違いについてご紹介します。

3項でも触れた通り、技能実習2号に対応している業種と、特定技能人材に対応している業種には違いがあります。

 

特定技能の対応業種14種は以下の通りです。

・介護

・ビルクリーニング

・素形材産業

・産業機械製造業

・電気・電子情報関連産業

・建設業

・造船・舶用業

・自動車整備業

・航空業

・宿泊業

・農業

・漁業

・飲食料品製造業

・外食業

 

https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf

(上記URL、P12∼14詳細記載)

 

一方で、技能実習2号が就労できる対応業種は以下の通りです。

(職種が非常に多いため以下のページをご覧ください)

https://www.otit.go.jp/files/user/010529-1.pdf

 

見ての通り、非常に沢山の業種及び職種に対応していることが分かりますよね。

では、特定技能に対応している14の業種と比較してみましょう。

例えば、外食業では特定技能人材は飲食物調理,接客,店舗管理等の作業が可能ですが技能実習生の対応業種には外食業という業種がありません。

 

このように特定技能と技能実習2号とでは対応業種に若干の違いがあります。

 

5. 企業がチェックしておきたい項目

次に企業がチェックしておきたい項目についてご紹介します。

これまで申し上げてきた通り、特定技能人材として採用する場合、基本的には技能測定試験合格者も技能実習2号修了者も能力に大きな違いはありませんので、面接時には人柄で判断する必要があります。

 

そのため、特に注意して見ておかなければいけない項目はありません。

しかし、2項でも言及した以下の特定技能取得の必須要件だけはきちんと確認しておくようにしましょう。

 

①18歳以上であること

②健康状態が良好であること

③通算在留期間に関するもの

(特定技能1号として在留している人は最長で5年間の在留期間が定められています。そのため特定技能1号の方が5年の期間を経た以降に特定技能1号を利用して在留することはできません。)

④保証金の徴収等をされていないこと

外国人またはその親族等が、保証金の徴収や、財産管理などの違約金契約を結ばされていない必要があります。)

必要な費用負担については、外国人本人が内容を十分に理解したうえで合意していること

(外国人が不当に高額な費用を払わされることを防ぐために事前の十分な理解合意が必要です。)

⑥外国人の送出し国で行うべき手続きが、正しく履行されていること

⑦「日本語能力試験」及び各種「技能測定試験」に合格していること

(技能実習2号修了者は免除)

 

6. 結局技能測定試験合格者と技能実習2号修了者はどちらを採用するべき?

では、結局技能測定試験合格者と技能実習2号修了者とではどちらを採用すべきなのでしょうか?

 

結論から申し上げると、どちらかを採用すべきということはありません!

どちらも同程度の能力がありますので、企業が求める人物像に合致した外国人の方を採用していただくのが一番です。

そのためにも企業内で特定技能人材に求める明確な人物像の基準を設けておくことが大切ですね!

 

7. あとがき

皆さん、「技能測定試験合格者と技能実習2号修了者はどちらを採用するべきか?」

という問いに対する答えは見つかりましたか?

技能実習生と聞くと、技能測定試験や日本語試験に合格した後に特定技能の資格を取得した外国員よりも未熟なイメージを持ってしまうかもしれませんが実際にはどちらも素晴らしいスキルを持った人材です!

 

企業にあった素敵な特定技能人材を採用できるといいですね!