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特定技能外国人への支援内容を徹底的に解説!

特定技能外国人への支援内容を徹底的に解説!

2023.09.14

過去の記事では、特定技能一号外国人に対する支援計画の内容や支援基準、支援計画を作成・実施する際の注意点などを簡単に紹介しましたが、今回の記事では特定技能外国人に提供しなければならない支援の内容を詳しく説明いたします!

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特定技能1号外国人への支援とは

まず、公式の説明から特定技能1号外国人への支援とは何かをご覧いたしましょう!

○ 特定技能制度においては、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(以下「入管法」という。)第2条の5第6項及び第19条の22第1項の規定に基づき、「特定技能1号」で在留する外国人(以下「1号特定技能外国人」という。)との間で雇用に関する契約を締結する本邦の公私の機関(以下「特定技能所属機関」という。)は、1号特定技能外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援(以下「1号特定技能外国人支援」という。)を実施する必要があります。そのため、特定技能所属機関については、1号特定技能外国人支援計画(入管法第2条の5第6項に規定する「1号特定技能外国人支援計画」をいう。以下同じ。)を作成するほか、当該支援計画が「特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」の基準に適合していることなどが求められます。

出典:1号特定技能外国人支援に関する運用要領

簡単に説明すると、特定技能制度において、特定技能1号外国人が特定技能の在留資格に基づく活動を円滑に行えるように、特定技能所属機関はその外国人の職業生活、日常生活、社会生活などの面で支援を提供しなければなりません。この支援を行うためには、「支援計画」を策定し、その計画に従って支援を実施する必要があります。

 

義務的支援

特定技能1号外国人への支援は、「義務的支援」として義務付けられる支援と、それに加えて行うことが推奨される「任意的支援」に区分されます。

まずは「義務的支援」の内容を紹介いたします!

(1)事前ガイダンスの提供

事前ガイダンスで情報提供しなければならない事項は、次のとおりです。
・ 1号特定技能外国人に従事させる業務の内容、報酬の額その他の労働条件に関する事項;
・ 本邦において行うことができる活動の内容;
・ 入国に当たっての手続に関する事項;
・ 1号特定技能外国人又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が、特定技能雇用契約に基づく当該外国人の本邦における活動に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、金銭その他の財産を管理されず、かつ、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約の締結をしておらず、かつ、締結させないことが見込まれること;
・ 1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約の申込みの取次ぎ又は外国における特定技能1号の活動の準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合は、その額及び内訳を十分理解して、当該機関との間で合意している必要があること;
・ 1号特定技能外国人支援に要する費用について、直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしていること;(義務的支援に要する費用は特定技能所属機関等が負担する。)
・ 特定技能所属機関等が1号特定技能外国人が入国しようとする港又は飛行場において当該外国人を出迎え、特定技能所属機関の事業所までの送迎を行うこと;
・ 1号特定技能外国人のための適切な住居の確保に係る支援の内容;
・ 1号特定技能外国人からの職業生活、日常生活又は社会生活に関する相談又は苦情の申出を受ける体制;
・ 特定技能所属機関等の支援担当者氏名、連絡先(メールアドレス等)
・本人であることの確認を行った上で、実施することが求められます文書の郵送や電子メールの送信のみによることは認められません。
・1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。

 

(2)出入国する際の送迎

○ 入国する際については、1号特定技能外国人が上陸の手続を受ける港又は飛行場と特定技能所属機関の事業所(又は当該外国人の住居)の間の送迎を行うことが求められます。

○ 出国する際については、1号特定技能外国人が出国の手続を受ける港又は飛行場まで送迎を行うことが求められます。また、出国する際の送迎では、単に港又は飛行場へ当該外国人を送り届けるだけではなく、保安検査場の前まで同行し、入場することを確認する必要があります。

 

(3)適切な住居の確保に係る支援

○ 1号特定技能外国人が住居を確保していない場合の支援として、次のいずれかによる方法で、かつ、1号特定技能外国人の希望に基づき支援を行うことが求められます。なお、当該支援については、当該外国人が現住居から通勤することが困難となるような配置換え等特段の事情がないにもかかわらず、自らの都合により転居する場合を除いて、受入れ後に当該外国人が転居する場合にも行うことが求められます。
1号特定技能外国人が賃借人として賃貸借契約を締結するに当たり、不動産仲介事業者や賃貸物件に係る情報を提供し、必要に応じて当該外国人に同行し、住居探しの補助を行う。賃貸借契約に際し連帯保証人が必要な場合であって、連帯保証人として適当な者がいないときは、少なくとも
・ 特定技能所属機関等が連帯保証人となる
・ 利用可能な家賃債務保証業者を確保するとともに、特定技能所属機関等が緊急連絡先となるのいずれかの支援を行う。

特定技能所属機関等が自ら賃借人となって賃貸借契約を締結した上で、1号特定技能外国人の合意の下、当該外国人に対して住居として提供する。

特定技能所属機関が所有する社宅等を、1号特定技能外国人の合意の下、当該外国人に対して住居として提供する。

○ 居室の広さは、一般的に我が国に相当数存在する居室の面積等を考慮し、1人当たり 7.5 ㎡以上を満たすことが求められます。ルームシェアするなど複数人が居住することとなる場合には、居室全体の面積を居住人数で運用要領別冊14除した場合の面積が 7.5 ㎡以上でなければなりません。

 

○ 銀行その他の金融機関における預金口座又は貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約(電気・ガス・水道等のライフライン)に関し、1号特定技能外国人に対し、必要な書類の提供及び窓口の案内を行い、必要に応じて当該外国人に同行するなど、当該各手続の補助を行うことが求められます。

 

 

(4)生活に必要な契約に係る支援

〇本邦での生活一般に関する事項

① 金融機関の利用方法

② 医療機関の利用方法等

③ 交通ルール等

④ 交通機関の利用方法等

⑤ 生活ルール・マナー

⑥ 生活必需品等の購入方法等

⑦ 気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等

⑧ 我が国で違法となる行為の例

⑧ 我が国で違法となる行為の例

 

〇国又は地方公共団体の機関に関する

① 所属機関等に関する届出

② 住居地に関する届出

③ 社会保障及び税に関する手続

 

〇相談又は苦情の申出に関する

相談又は苦情の申出に対応することとされている者の連絡先及びこれらの相談又は苦情の申出をすべき国又は地方公共団体の機関の連絡先。

 

〇医療機関に関する

➀外国人患者の受入れ体制が整備されている病院の名称、所在地及び連絡先;

➁医療通訳雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内 。

 

〇防災及び防犯に関する

➀ トラブル対応や身を守るための方策;

➁緊急時の連絡先・場所、警察・消防・海上保安庁等への通報・連絡の方法;

③気象情報・避難指示・避難勧告等の把握方法、災害時の避難場所。

 

〇出入国又は労働に関する法令の規定に違反へ対応

➀入管法令及び労働関係法令

➁地方出入国在留管理局連絡方法

③労働基準監督署又は地方出入国在留管理局連絡方法

➃地方出入国在留管理局又は労働基準監督署連絡方法

➄法務局・地方法務局又は地方出入国在留管理局連絡方法

⑥日本年金機構連絡方法

 

(5)日本語学習の機会の提供

① 就労・生活する地域の日本語教室や日本語教育機関に関する入学案内の情報を提供し、必要に応じて1号特定技能外国人に同行して入学の手続の補助を行うこと;
② 自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し、必要に応じて日本語学習教材の入手やオンラインの日本語講座の利用契約手続の補助を行うこと;
③ 1号特定技能外国人との合意の下、特定技能所属機関等が日本語教師と契約して、当該外国人に日本語の講習の機会を提供すること。

 

(6)相談又は苦情への対応

➀ 1号特定技能外国人から職業生活、日常生活又は社会生活に関する相談又は苦情の申出を受けたときは、遅滞なく適切に応じるとともに、相談等の内容に応じて当該外国人への必要な助言、指導を行う必要があります。
➁ また、特定技能所属機関等は、必要に応じ、相談等内容に対応する適切な機関(地方出入国在留管理局、労働基準監督署等)を案内し、当該外国人に同行して必要な手続の補助を行わなければなりません。
③ 相談及び苦情への対応は、1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。

 

(7)日本人との交流促進に係る支援

➀就労又は生活する地域の行事に関する案内を行うほか、必要に応じて当該外国人に同行して現地で説明するなどの補助を行わなければなりません。

➁地方公共団体やボランティア団体等が主催する地域住民との交流の場に関する情報の提供や地域の自治会等の案内を行い、各行事等への参加の手続の補助を行うほか、必要に応じて当該外国人に同行して各行事の注意事項や実施方法を説明するなどの補助を行わなければなりません。

 

(8)外国人の責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合の転職支援

① 所属する業界団体や関連企業等を通じて、次の受入先に関する情報を入手し提供すること;
② 公共職業安定所その他の職業安定機関又は職業紹介事業者等を案内し、必要に応じて1号特定技能外国人に同行し、次の受入先を探す補助を行うこと;
③ 1号特定技能外国人の希望条件、技能水準、日本語能力等を踏まえ、適切に職業相談・職業紹介が受けられるよう又は円滑に就職活動が行えるよう推薦状を作成すること;
④ 特定技能所属機関等が職業紹介事業の許可又は届出を受けて職業紹介事業を行うことができる場合は、就職先の紹介あっせんを行うこと。

上記①~④のいずれかに加え、次の支援についてはいずれも行う必要があります。
・ 1号特定技能外国人が求職活動を行うための有給休暇を付与すること;
・ 離職時に必要な行政手続(国民健康保険や国民年金に関する手続等)について情報を提供すること。

 

(9)定期的な面談の実施、行政機関への通報

➀ 直接の上司や雇用先の代表者等それぞれと定期的(3か月に1回以上)な面談を実施する必要があります。なお、面談は対面により直接話をする必要があり、テレビ電話等で行うことはできません。
➁ 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合を除き、第三者への委託は認められません。なお、この場合であっても、法律等のアドバイスを行う専門家や通訳人等を履行補助として委託して同席させることはできます。
③ 定期的に行う面談の場においては、前記(4)の生活オリエンテーションで提供した本邦での生活一般に関する事項、防災及び防犯に関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項その他の事項に係る情報を、必要に応じ、運用要領別冊30改めて提供することが求められます。
➃1号特定技能外国人との面談は、当該外国人が十分に理解することができる言語により実施することが求められます。
➄支援責任者又は支援担当者は、1号特定技能外国人との定期的な面談において、労働基準法(長時間労働、賃金不払残業など)その他の労働に関する法令(最低賃金法、労働安全衛生法など)の規定に違反していることを知ったときは、その旨を労働基準監督署やその他の関係行政機関に通報する必要があります。
⑥ 支援責任者又は支援担当者は、1号特定技能外国人との定期的な面談において、資格外活動等の入管法違反、又は、旅券及び在留カードの取上げ等その他の問題の発生を知ったときは、その旨を地方出入国在留管理局に通報する必要があります。

任意的支援

特定技能所属機関等は、義務的支援として提供する情報に加え、次の事項について任意的に情報の提供をすることが考えられます。要注意することとしては、任意的支援についても1号特定技能外国人支援計画に記載した場合には支援義務が生じることとなります。

 

(1)事前ガイダンスの提供

・ 入国時の日本の気候、服装
・ 本国から持参すべき物、持参した方がよい物、持参してはならない物
・ 入国後、当面必要となる金額及びその用途
・ 特定技能所属機関等から支給される物(作業着等)

(2)出入国する際の送迎

 入国する際の送迎については、技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を運用要領別冊12変更した外国人が既に本邦に在留している場合には当該支援の対象となりません。ただし、この場合であっても、特定技能所属機関等の判断により、本邦内の移動について送迎を実施することや、本邦内の移動に要する費用を特定技能所属機関等が負担することとしても差し支えありません。

なお、送迎を実施しない場合には、当該外国人が円滑に特定技能所属機関まで到着できるよう、本邦における交通手段や緊急時の連絡手段を伝達しておくことが望まれます。

 

(3)適切な住居の確保に係る支援

➀ 1号特定技能外国人に係る特定技能雇用契約の解除・終了後、次の受入先が決まるまでの間、住居の確保の必要性が生じた場合には、直近の特定技能所属機関等は、上記の支援を行うことなどにより当該外国人の日常生活の安定・継続性に支障が生じないよう配慮することが望まれます。

➁ 生活に必要な契約について、契約の途中において、契約内容の変更や契約の解約を行う場合には、各手続が円滑に行われるよう、必要な書類の提供及び窓口の案内を行い、必要に応じて当該外国人に同行するなど、当該各手続の補助を行うことが望まれます。

 

(5)日本語学習の機会の提供

➀ 支援責任者又は支援担当者その他職員による1号特定技能外国人への日本語指導・講習の積極的な企画・運営を行うこと;
➁ 1号特定技能外国人の自主的な日本語の学習を促すため、日本語能力に係る試験の受験支援や資格取得者への優遇措置を講じること;
③  日本語学習を実施する場合において、特定技能所属機関等の判断により、日本語教室や日本語教育機関の入学金や月謝等の経費、日本語学習教材費、日本語教師との契約料等諸経費の全部又は一部を当該機関自ら負担する補助等の学習のための経済的支援を行うこと。

 

(6)相談又は苦情への対応

➀ 相談・苦情の内容により、1号特定技能外国人が直接必要な手続を行いやすくするため、相談窓口の情報を一覧にするなどして、あらかじめ手渡しておくことが望まれます。
➁ 相談・苦情は、特定技能所属機関等の事務所に相談窓口を設けたり、相談・苦情専用の電話番号やメールアドレスを設置したりすることにより実施することが望まれます。
③ 1号特定技能外国人が仕事又は通勤によるけが、病気となり、又は死亡した等の場合に、その家族等に対して労災保険制度の周知及び必要な手続の補助を行うことが望まれます。

 

(7)日本人との交流促進に係る支援

➀ 1号特定技能外国人が各行事への参加を希望する場合は、業務に支障を来さない範囲で、実際に行事に参加できるよう、有給休暇の付与や勤務時間について配慮することが望まれます。
➁ 1号特定技能外国人が地域社会で孤立することなく、当該外国人と日本人が相互に理解し信頼を深められるよう、特定技能所属機関等が率先して、当該外国人と日本人との交流の場を設けていくよう努めることが望まれます。

 

(9)定期的な面談の実施、行政機関への通報

1号特定技能外国人自らが通報を行いやすくするため、関係行政機関の窓口の情報を一覧にするなどして、あらかじめ手渡しておくことが望まれます。